現在D1です.
2023年度日本学術振興会の特別研究員DC2に採用されたのでメモを残しておきます.
学振に関しては書き方のテクニックが大事であり、基本的には毎年ドクター進学者を輩出しているようなビッグラボに所属している学生が学振の書き方や研究室内の添削システムが機能しているため、圧倒的に有利だと思います。
二次採用経由ですが、DC2に論文ゼロで採用されたのは割と珍しい思うので、参考になるよう記録として残しておこうと考えました。
私の研究室は日本人ドクターの学生が自分のみで,最後に学振を取ったドクターの先輩は5年前に卒業してるので学振に関して研究室内の学振添削などのシステムや書き方のテクニックなどはありませんでした.
そのため,学振申請書を描く際には多くのブログを参考にしました.
昔から自分がお世話になった際には記事として残し,後世に還元するように意識しています.
申請時の業績
- 査読付き論文:0
- 査読付き国際学会:2件
- 査読なし国内学会:4件
- 受賞,研究資金など:受賞1件,研究資金2件
時系列
DC1申請時
DC1は普通に落ちた.不採用Bだった.
DC1時点の業績
- 査読付き論文:0
- 査読付き国際会議:1(ポスター)
- 査読なし国内学会:3(口頭1、ポスター2)
当時のツイート
不採用B
— あはは (@_unko_man_s) 2021年9月27日
Tスコア pic.twitter.com/HsUds7SAGf
— あはは (@_unko_man_s) 2021年9月27日
論文もなかったし落ちて当然と考えていたので全く落ち込まなかった。
前年度からJST次世代制度が始まっていたからそちらに受かるだろうという算段もついていた(この時点では受かっていない).
学振についてネットで調べ,他研究室の先輩のツテでDC2に通った申請書を2つ頂いたので参考にし,自分の申請書を完成させた.
研究室の指導教員と学振に通った先輩に一度ずつ添削してもらった.
学内の添削制度も利用したが,形式的なコメントのみであまりあてにならない感じがした.
やはり査読論文がないと厳しそうなのでDC2には論文のacceptを間に合わせようと考えていた(なおDC2に間に合わなかった).
*JST次世代については以下のリンクを参照。各大学によって制度は異なります。私の大学では月額15万円、研究費が年額60万円いただけます。
DC2の申請
3月
論文の投稿を完了させる.この頃にはDC2に論文が間に合わないことは確実にわかっていたためDC2は絶望的だと感じていた.JSTには通っていたので生活費程度なら何とかなる気もしていた.DC2論文なしは無理ゲーとの前情報があったので時間の無駄と思い特に準備をしなかった.
4月
研究科内の締め切りが提示され学振の締め切りまで残り1か月であることが判明.指導教員から出すことが大事とのありがたい言葉を頂きとりあえず準備を始める.
4月まで全く準備をしていたかったので完全な自業自得だが,学内の締め切りがGW前で切れ散らかしていた.
学振書き始めた
— あはは (@_unko_man_s) 2022年4月11日
学振の学内締め切り早すぎなんやが...
— あはは (@_unko_man_s) 2022年4月15日
学振側の締め切り6/2で学内締め切り5/2ってどゆこと?
— あはは (@_unko_man_s) 2022年4月15日
1ヶ月も何すんの?
締め切り伸ばしてくれ...
学振に関係あるかは不明だが,念のため個人ホームページなども作っておいた.
4/22には初稿が終わっていたみたいだ
なお初稿は終わってる
— あはは (@_unko_man_s) 2022年4月22日
5月
どうせ通らんやろと思っていたがとりあえず学振の提出を完了させる.
DC2申請書サブミット
— あはは (@_unko_man_s) 2022年5月2日
まあ,個人的感想だが20%しか通らないので,よっぽど業績がいいか研究内容が秀逸でない限り,過度な期待はしないほうがいいと思われる.正直運要素もあるので時間をかけすぎないようにした。
9月
どうせ落ちてるだろと思ってみたら二次採用候補に引っかかっていた.
論文なしでよく引っかかったなという感想.先輩や指導教員にも言われた.
学振DC2は二次採用候補
— あはは (@_unko_man_s) 2022年9月28日
延長戦突入
申請者51名で,1次採用が8名,二次採用候補が3名という感じ.これ二次採用候補全員通ってもいいやろと思った.
マジで惜しくて笑う pic.twitter.com/aA47Ub0BVv
— あはは (@_unko_man_s) 2022年9月28日
12月
二次採用の結果が発表される.二次採用候補の3名のうち2名が採用されていた.分野内の最終採用は10/51名.
学振DC2採用でした!
— あはは (@_unko_man_s) 2022年12月26日
何とかギリギリ採用された.再現性はないが論文0でも通ることがあるのであきらめずに申請書の準備をしてほしいと思う.
DC2申請書で意識したこと
こんな限界学振ブログに行き着く人は学振のことについて調べ倒していると思われるので基本的な内容は省略する.
私がDC1申請書で意識しなかったがDC2で意識したことを簡潔にまとめる.
・本研究の着想に至った経緯は自分の今までの研究実績・明らかにしたことをベースに書くように意識した.「修士課程での研究を通じて~を解明し,***に論文投稿を行っている.修士課程で解明した現象から,もしかすると~であれば~なのではないかと考え、本研究計画の着想に至った.」のような感じだろうか.
・投稿論文をすごく強調して書く.私は採択はされていなかったが,投稿済みの論文があったため,「~の雑誌に投稿済みである」という記載を散りばめて,投稿はしていることをかなり強調して書いた.業績がない人は参考にしてほしい.
・少しの研究費や大学院プログラムの合格など書ける内容は全部書く.人物像などにも繋がる内容なので書けることはたくさん書いた.
・研究計画や研究の実施手順についてフローチャートのような図を描く.研究の実施手順や何を解明するかという点についてプログラミングのフローチャートのような矢印とブロックの流れ図のようなものを追加した.これを追加したことによって研究手順がかなりわかりやすい物になったと思う.
・研究計画は何をどんな手法で明らかにするかを明確に書く。ここを明確に書かないと曖昧で何をしたいかわからない申請書になる。
逆に、後ろの方の目指す研究者像などはDC1の申請書と比べてもあまり変わっていないので、この辺はあまり差がつかないのではないかと思う。結局1枚目と2枚目の完成度をどれだけ上げられるかにかかってると思われる。
最後に
個人的感想ですが,学振に受かる人は圧倒的優秀層と普通層の二分に分かれていて,圧倒的優秀層は学振受かる中でも2割くらいなんじゃないだろうか.やれるだけやるべきなんでしょうが審査員の相性もあるだろうし、正直運ゲー要素も強いと思っています.実際、今回DC2に採用されたが、まだ論文も出せていないし自分が優秀層とは全く思わないです。
論文なしDC2の申請は精神衛生上よくないので、間に合いそうな人は頑張って論文のacceptを間に合わせるように頑張ってください。。。
分野にもよりますが、論文0DC2は可能なので,これから書く人は論文0でもとりあえず申請書を描くように頑張ってください.
ただ,学振に落ちてもお金関係は何とかなります.
↓DC1に落ちた1年間の収入についてまとめています.
↓JST次世代で獲得した研究費の使い道
論文0でDC2通ったので学振は業績なくても強い気持ちで書いていただきたい。
— あはは (@_unko_man_s) 2022年12月29日
正味運
質問などがあればtwitterのDM投げてください